冬に大活躍のスタッドレスの歴史！

元々は、雪道や凍結路を車で走行する時はタイヤに鋲の付いているスパイクタイヤを取り付けるのが一般的でした。

スパイクタイヤは道路を削りながら走行する為に、粉塵が舞ってしまい環境問題の点から使用が禁止されてしまいました。

スパイクタイヤの使用禁止によりそれに代わる冬用タイヤの開発に各メーカーが乗り出しましたが、それは苦労の連続でした。

 

今回はブリヂストンのスタッドレスタイヤ開発の説明していきたいと思います。

 

《氷の上で滑るのは水の膜がある為》

 

氷の上で滑る原因は氷の周りを覆いつくす水の膜にあります。
実際に冷凍庫から出したばかりの氷は手にくっついてはがれず、時間が経って溶けて水の膜ができると手から離れます。

各タイヤメーカーはスタッドレスタイヤを作るうえで、如何に水の膜を取り払うかに重点を置いていきます。

 

《ヒントはヤモリと白くま》

スタッドレスタイヤの開発に行き詰ったブリヂストンの開発チームは何故ヤモリが窓ガラスから滑り落ちないのかに目を付けます。

その結果、ヤモリの手の平は柔らかく、細かく分割されたパッドがあり、その凹凸でガラス面に密着していることがわかります。

ヤモリの手の平からヒントを得てタイヤのブロックに細かいギザギザの溝を作り、氷の上の水を切り吸着させることに成功します。

更に、白くまが何故、海中から氷の上に上がってきても滑らないのかに目を付けて研究を始めました。

白くまの手の平は凹凸のスポンジ状になっていて、水分を吸収していることがわかります。

白くまの手の平からヒントを得てタイヤのゴムの中に細かい発泡を組み込み、タイヤがスポンジのように水分を吸収する構造の開発に着手します。

 

《休憩が救世主》

 

発泡タイヤの開発を始めてから試作品を何個も作りますが、納得のいく結果が得られませんでした。

ある日、スケート場を貸し切りにしてもらい氷のリンクの上で試作品の走行テストを行っていた時に、納得のいく結果が得られないので休憩を兼ねて試作品のスタッドレスタイヤをはいたままの車に乗って近くのお店にコーヒーを買いに行ったそうです。

帰って来てからもう一度氷のリンクの上で走行テストをしてみると、なんと理想の数値結果が得られました。

開発チームがこの短い時間で何が起きたのかを調べた結果、コーヒーを買いに行くときに道路との摩擦によって
試作品のタイヤの表面が削られていることが判明しました。

タイヤは製造の仕上げ工程でツヤを出すために薄い油分の膜をコーティングしているため、そのコーティング剤がタイヤの吸水の邪魔をしていました。

評価の高いブリヂストンのスタッドレスタイヤは、ひらめきと偶然により作られたものだったんですね。

 

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